COMPUTEX 2022トレンドトーク2回目:「イマーシブ・エクスペリエンス」が秘める無限の可能性

新型コロナウイルスは人類の生活様式を変え、多くの技術に新たな革新をもたらしました。例えばAI(人工知能)を活用したレイトレーシングはよりリアルな情景を作り上げ、イマーシブな(没入感のある)視覚効果をもたらし、VR(バーチャル・リアリティ)は五感へのさまざまな刺激により、物理的空間を拡張しました。モーションセンサーは一挙手一投足を感知し、個人の軌跡を忠実に記録します。

第二回COMPUTEX 2022トレンドトークでは、50人の聴衆が見守る中、ゲーミングブランドROG(Republic of Gamers)シリーズで知られるASUSと、携帯電話端末メーカーとして知られるhTCの関係者が「TECH×EXPERIENCE」をテーマに、テクノロジーと体験のクロスオーバーについてそれぞれの知見を語りました。

モデレーターを務めたメルマガ『曼報』の創刊者Manny Liさんは、人類は古来より想像と体験を追求してきたが、近年テクノロジーの急速な発展によって、その可能性はさらに拡大していると述べ、人類の想像と体験への追求の延長上にあるのがメタバース(インターネット上の仮想空間)だと指摘しました。Manny Liさんは、メタバースが最近注目されているのには3つの要素があると述べました。それは(1)強大なコンピューティング能力により体験がよりリアルになったこと、(2)開発者用ツールがより普及し、デジタル創作に取り組む人が世界で爆発的に増えたこと、(3)ブロックチェーンによって、バーチャルな世界での活動がリアルな経済価値を生み出せるようになったこと――です。

ROGのグローバル・マーケティング・ディレクターである傅星翔(Galip Fu)さんは、ゲーマーからのゲーム環境に対する要求がますます高くなっていると指摘しました。当初のゲーミング商品は、RGBのエフェクトを最大限にするというデザイン面のアプローチから開発されたものでした。しかし現在、ROGのブランドマーケティング戦略は、Eスポーツそのものからゲーマーへと移っています。つまり、ゲーマーのマインドとライフスタイルに注目し、ゲーミングエクスペリエンスを中核としながら、他領域との異業種提携を模索しているというのです。例えば、IKEAとコラボしたゲーミング家具の他、ストリートスポーツや、世界的なDJであるアラン・ウォーカー氏とコラボしたゲーミングノートPCを発売したことなどが一例として挙げられます。

現在注目されているNFT(Non-Fungible Tokens、非代替性トークン)について傅星翔さんは、デザイン的要素を含む商品であれば何でもNFTの価値を持つと指摘した上で、ROGがこの領域に参入するかどうかについては未知数だが、明確に言えることは、ROGがこれからも創造し続け、人を引きつけ続け、コミュニケーションを続けながらこのゲーミングブランドを発展させていくということだ、と述べました。

hTCアジア太平洋地区の事業開発部に所属する蒋官廷(Roy Chiang)さんは、アメリカのSF映画『レディ・プレイヤー1(Ready Player One)』のオープニングシーンを例にメタバースについて説明しました。また、AR/VR、AI、5G、ブロックチェーンなどが技術面で成熟すれば、メタバースの発展につながると述べました。hTCはAR/VRのヘッドセットを提供するほか、VRコンテンツ配信プラットフォーム「Viveport」を全世界で提供しており、ユーザーはワンストップでオンライン美術館、オンライン音楽会、オンラインジムなどさまざまなVRコンテンツを購入して体験することができます。

例えば同社が現在開催しているVR展覧会「CAT ARTオンライン美術館 -Step into CAT ART-」は、日本の人気作家シュー・ヤマモト氏の創作「CAT ART」とのコラボイベントです。hTCのVRプラットフォーム「Viveport」を通して、シュー・ヤマモト氏の絵が額縁から飛び出し、鑑賞者との距離を縮め、さらには絵の中に描かれた猫とのふれあいも楽しめるなど、これまでの芸術作品の展覧会にはなかった体験を提供するものとなっています。

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