COMPUTEX 2022トレンドトーク: 初回はテクノロジーとアートの領域を超えた応用に焦点

工業技術研究院(ITRI)IEK Consultingによると、台湾のGDPに占めるデジタル経済の比重は2030年までに60%に達し、業種を超えたイノベーションによる様々なチャンスや課題をもたらすだろうと予想しています。台北国際コンピュータ見本市(COMUPUTEX)もイノベーションとテクノロジーが融合していく潮流に関心を寄せています。COMPUTEXの主催者の一つである中華民国対外貿易発展協会(TAITRA、日本での名称は台湾貿易センター)は「COMPUTEX 2022トレンドトーク」と銘打った計3回のトークセッションを開催します。11月18日に開催された初回セッションでは、TECH x ART(テクノロジーとアートのクロスオーバー)に焦点を当て、安謀国際科技(Arm)、微星科技(MSI)、優視覚(U Visual)の関係者が、テクノロジーのクロスオーバーについてさまざまな知見を共有しました。

モデレーターを務めたメルマガ『曼報』の創刊者Manny Li氏は、多くの創作やデザインの仕事がテクノロジーに依存するようになってきており、アートとテクノロジーの関係は切っても切れない関係になっていると指摘しました。例えば長年関心が寄せられてきたデジタルツイン(Digital Twin)は、演算能力の大幅な向上により、製造業だけでなく、デザインの世界でも応用されるようになっています。また、もともと単なるパーソナルデバイスと呼ばれていたものに、徐々にアクセサリという意味が付与されるようになっており、デザインやアートのテクノロジー分野とのクロスオーバーはかなり深くなっていると述べました。

安謀国際科技(Arm)でFAE (Field Application Engineer)ディレクターを務める徐達勇(David Hsu)氏は、近年映画や音楽の製作とテクノロジーの融合がますます密接になっていると指摘し、こうした創造性の高い仕事はディープラーニングによるAI(人工知能)でも可能だと説明しました。また、同社が提供する「Arm Flexible Access」プログラムはICデザインのプラットフォームで、半導体関連の新興企業がArmにライセンス料を支払うことなく、Armが持つ半導体の設計IPを利用した研究・開発に取り掛かることができると説明しました。現在、このプログラムにはスタートアップ40社以上が参加しているということです。

微星科技(MSI)のNB工業設計一部(ID Section I)の李忠弼(Bi Lee)経理(Manager of Industrial Design)は、同社の製品の設計理念について、コアコンセプト、ターゲット、マーケティングの共通部分を見つけることで、没入感のあるデザインを生み出し、それにストーリーを紐づけて販売していると紹介しました。その具体例として李経理は、クリエイター向けノートPC『Creator Z16』シリーズで、日本のマルチプロデューサー、藤原ヒロシ氏とコラボレーションした限定モデル「Creator Z16 Hiroshi Fujiwara Limited Edition」を販売したことを挙げ、インダストリアルデザインとプロダクトデザインのバランスをどのように取ろうとしたかについて説明しました。

優視覚(U Visual)でデザイン・ディレクターを務める王徳明(Jerry Wang)氏は、「かつてデザインといえば、パソコン、MP3プレーヤー、手書きのボードなど複数のツールが必要だったが、現在は1台のパソコンさえあれば十分だ」と指摘。最近台湾でイベントを行っていた「チームラボ(teamLab)」をアートとデジタルテクノロジーの融合によるインタラクティブな展示を行った最良の実例として挙げ、同様の没入型の展示はますます増えていると述べました。

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