COMPUTEX 2022トレンドトーク:最終回 持続可能なグリーンエネルギーに要注目

環境変遷や異常気候などの問題が絶えず議論される昨今、大企業は次々と革新的技術によってグリーンな生産活動に取り組んでおり、テクノロジーとサステナビリティが交差するようになってきました。12月16日、COMPUTEX 2022トレンドトークの最終回が「TECH x Sustainability」をテーマに、台湾南部・台南市の奇美博物館の豊収庁(ホール)で開催されました。GOGORO、Google、台達電子(Delta)の関係者がパネリストとして参加し、サステナブルな循環経済についてそれぞれの知見を共有しました。

モデレーターを務めたメルマガ『曼報』の創刊者Manny Liさんは、閉会したばかりの第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で世界各国のリーダーによる厳しいイニシアチブや政策決定の下、史上初めて「石化燃料の段階的減少」が合意文書に明記されたことを踏まえ、石化燃料時代の終焉が始まったことを指摘しました。これにより、台湾のみならず世界各国の政策に対する縛られることになり、特に輸出に支えられている台湾は大きな影響を受けると見られます。また、NASDAQは新たなグローバルESG(環境・社会・ガバナンス)」ガイドラインを制定し、企業に対してESGデータの提供を求めています。今後台湾でもサプライチェーンのコストを計上する際、二酸化炭素の排出を考慮する必要が生じるでしょう。

人類にとって移動は欠かせない営為です。新型コロナウイルスの感染がまん延する中でも、台湾ではフードデリバリー業界が業績を伸ばし続け、呼吸器系の問題で亡くなった人は2020年に交通事故で亡くなった人の16倍に達しました。スマートスクーターを販売するGOGOROは、世界の消費者がよりクリーンな移動ソリューションを求めていることに注目し、グリーンエネルギー、走行速度、エネルギー効率のバランスを積極的に模索し、EVバイク専用水冷モーターの開発に成功しました。GOGOROは世界最大規模のバッテリーネットワークを構築しており、1.5 GWhにおよぶバッテリー交換ステーションの総蓄電量を展開しています。これは台北市の平均電力消費量48分間分に相当します。また、二酸化炭素はGOGOROのスマートスクーターの利用者により3億6,000万㎏抑えられているとしており、台北市内にある大安森林公園925個分に相当するCO2吸収量です。同社のプロダクト・ディレクターである彭明義(Ming-I Peng)さんはこのトークセッションで「イノベーションとは何を発明して生み出すかではなく、社会や人類のどのようなニーズを解決するかである」と語り、GOGOROが自社製品によって台湾がより良い社会になるようリードしていきたいとする考えを表明しました。

台達電子(Delta)は創業当初より「環境保護、省エネルギー、地球を愛する」を使命としてきました。2030年までに、同社は台湾のテクノロジー業者としては初めて、RE100の取り組みとカーボンニュートラルを達成する企業となることを目指しており、産業技術からビジネス環境に至るまでのあらゆる分野で、顧客企業が新しいビジネスチャンスを創出できるようサポートする完全なソリューションを提供しています。スマートシティ計画では、同社の電気自動車充電は蓄電と双方向充電と組み合わせた製品を取り入れており、停電時には都市のバックアップ電源として使用できるようにしています。このほか、再生可能エネルギーの使用量が増える中、台達電子は電力取引のプラットフォームを提供して電力の需給調整を支援し、電力網の安定に取り組んでいます。

台達電子のプロジェクト・マネージャーの施孟璁(Johnny Shih)さんは、グリーンエネルギーや脱炭素に取り組む際、商品のイノベーションのほかに、企業は内部管理を戦略的計画に取り込むべきだと提案しました。例として台達電子は、社内で炭素価格を制定し、各部署で実行可能なサステナブルなイノベーションの方法と手段の考慮を求めています。

過去10年にわたってGoogleは世界の脱炭素とグリーンエネルギーの発展に関心を寄せてきました。なぜなら同社のデータセンターは地球のエネルギーの約1%を消費しているからです。同社は最小限のエネルギー消費で、最大限の生産を生み出すべく取り組み、顧客の産業制御ループの改善に協力しています。Google CloudスマートアナリティクスとAI(人工知能)のプラットフォームは、サプライチェーンの業者がデータを最新化し、カーボンフットプリント(PCF)を追跡できるようにしています。ユーザーが関連の商品やサービスを検索する際、Googleは環境に優しい選択肢とアドバイスを提供することで、ユーザーにサステナブルでエコな選択肢を提示します。Googleのカスタマーエンジニアリング・リーダーの林書平(Harry Lin)さんはこのトークセッションの最後を「いまはデジタルトランスフォーメーションに関心が寄せられているが、これからはグリーントランスフォーメーションが注目されるだろう」という言葉で締めくくりました。

COMPUTEX 2022トレンドトークは世界巡回型のイベントです。
「#COMPUTEXisEverywhere」のスタートを切るイベントとして、今後アメリカ、スペイン、シンガポール、イギリス、日本、韓国、ドイツなどの国でも開催します。どうぞご期待ください。

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